大変ひさしぶりな更新になってしまいました。
お恥ずかしいかぎりです。
年末のギリギリなタイミングですが、先日非常に興味深いイベントに参加しましたのでそのことをご報告します。
12月22日にASCII.jp主催で「リアルイイクラ2015年納会」が開催されたので参加してきました。
詳細はリンク先の記事を見ていただくとして、おおざっぱに言うと今年のクラウド業界の振り返りと2016年の展望を、メディアの立場とSIerの立場からの2部構成で語り尽くそうというものです。
結論として、私にとっては大変に意義深いイベントでした。
その理由を書いておきたいと思います。
一昔ふた昔前のITバブルを彷彿させるように、ここ1、2年は「クラウド」「ビッグデータ」「IoT」などのキーワードのもと、ワンアイデアでニッチなソリューションベンチャーがそれこそいろんな分野で出てきています。その多くは米国発のため、「広報活動をちゃんとしなきゃ!」ということを理解しているので代理店を使ってくれるというわけで、あれやこれやといろんな企業のお手伝いをしてきました。
そのような仕事を続ける中で、私としてはどうも最近なんだか壁につきあたっているような気分だったのです。
例えばプレスリリースだけではなかなか記事になりにくい、Cがつく面々が新製品や新バージョンを携えて来日しても取材が入りにくいような状態になってきていたと思うのです。
そんな中、この「リアルイイクラ」でお話しを聞いて、自分には受け手はおろか、情報の出し手の気持ち、希望も汲めてなかったんじゃないかって思ったのです。それはこういうことです。
イベントの第1部はメディアから見たクラウド。@ITの三木泉さんとフリーの五味明子さん、モデレーターの大谷イビサさんがディープな討論をなさっております。その中でピクっとしたのは、五味さんの「日本とは違って、米国企業にはデータ分析というと自分でSQLまでやれる人が揃っている」という言葉でした。
そうか、エンタープライズユーザーとかエンジニアとかぐるっとおおぐくりに言ってるけど、その属性は米国と日本では全然違うものなのかもしれない、ということです。
当たり前のことだし、頭では理解できている気になっていても、本当にその違いを理解した上でクライアント企業に接しているだろうか。
米国企業が自国内のカスタマーに向けて作ってきたメッセージやメソッドがそのまま日本のカスタマーに適用できるとは限らないことを前提に、より適切なアイデアを提案できるように、場合によってはクライアントを説き伏せねばならないということだと思います。
それを思うと五味さんばかりでなく、三木さんも大谷さんも海外取材が多いですから、次回は彼我の違いをメインに討論いただけると嬉しいなと思った次第です。
そして第2部は、上記のファインディングの礎にもなります、クラウドで商いをなさっている方々の本音トークです(SCSK、スカイアーチ、TIS、電通国際情報サービスの4社)。こちらで印象的だったのは、モデレーター大谷さんからの「クラウド導入を推進する要素は何か」との問いに対して、4社一様に答えとしてあげていたのが「ユーザー事例です」であったこと。
これは実はメディアサイドからの意見でもありました。「ユーザー企業からの発信の増加」は、第1部でも2016年のクラウド業界に期待することとしてあげられていました。
これも胸にずしんと来る話です。まだ誰も採用していないソリューションは、どれだけ技術的に、理論上は優れていても、その効果がピンとくるはずはないわけですから。
というわけで、私としても2016年にどのように仕事を進めていくべきかということがおぼろげながらに見えてきた気がします。
これはまだ絵に描いた餅で、言うは易く行うは難しの典型のようなものですが、以下の2点に気を付けてプラン、提案し、実行していきたいなと思います。
(1) クライアントが母国でどういうターゲットにどういうメッセージを出してきたのか、日本でどういうプランを考えているかきちんとヒアリングすること。
(2) ユーザー企業情報の公開について、コミュニティの構築・運営も含めてタイムラインを引き、それに合わせた情報発信プランを立てること。
とりたてて目新しいことではないかもしれません。
ですが私にとっては、「リアルイイクラ」に参加したことでこれが正しい方向だと納得できたということが最大の収穫だと思っています。
次回もぜひ参加したいと思います。
ちなみに近日開催のアスキーさんの同種のイベントとしては、1月15日開催予定の第4回 ITACHIBA会議『70歳まで幸せに働く方法と、幸せに働ける企業経営を考える』があります。
こちらにも都合をつけて参加したいなと考えています。
以上