「プレス」リリースの時代は終わったのか?


大上段なタイトルをつけてみました。

内容は、広報活動の基本中の基本ともいえるプレスリリースについて、昔は良かったなあみたいな、懐古的な話を書いてみたいと思います。

「魚釣りは鮒にはじまり鮒に終わる」「天体観測は月にはじまり月に終わる」などと申しますが、果たして「広報活動はプレスリリースにはじまり、プレスリリースに終わる」…、んでしょうか?

冒頭にして気前よくタイトルのネタバレをしますが、あれが「プレスリリース」なのか「ニュースリリース」なのかって気になったことはありませんか?

結論から言うと、「プレス」リリースはもはや時代遅れになっちゃってるんじゃないかって思います。

ではまず昔話から。

かつて、というのはインターネット以前ということですが、プレスリリースは確かに「プレス」リリースでした。

私自身は80年代後半からこの業界に籍を置いていますが、当時、代理店の人間が自分の担当外の企業のプレスリリースを入手するのは簡単なことではありませんでした。

その会社の代表に電話して広報部につないでもらい(ここが既に関門のひとつ目です)、広報担当者に「今こういうことを調べているので参考のためにこれこれのプレスリリースを送っていただけませんか」とお願いしてみるわけです。

ここで「報道関係者以外には提供していません」と断られることもしばしば。

うまく送ってもらえることになったらこちらの住所を口頭で読み上げるかファックスで送るかして知らせて、やっと一仕事終わり。

先方にしてみれば印刷費と郵送費はかかるわ、時間は使わされるわ、でもってリターンゼロなこともわかっているわけで、そりゃ乗り気にはなれないですよね。

リリースは報道関係者のために作っているもの。それが「プレス」リリースのいわば黄金期であったんだろうと思います。

ところがそんな環境が一変するのがインターネットの普及というわけです。

企業が自社のウェブサイトを運営するようになり、情報開示の機運もあり、たいていの企業がプレスリリースを、(古い人間の眼には)惜しげもなく自社サイトで公開するようになりました。

企業情報がかくも簡単に手に入る。

そのことは本当に、革新的なことだったと実感しています。

ところが、光あれば影もできる。

ということで「影」のことを書くんですが、改めて断っておきますが、これは個人的な印象です。

統計を取ったわけでも、各社に調査をしたわけでもありません。あくまでも私が仕事をしてきた中で受けた印象です。

それはプレスリリースの内容が薄くなっちゃったんじゃないの、ということです。

私が担当してきたのは主に外資系のIT企業なんですが、そのプレスリリースを見ていると、新製品の良い部分や販売における意気込みなどについての記述がどんどん薄まっていって、なんだか”あたりさわりのない”ことに終始しているという印象を受け始めたのが、2000年代の初頭くらいですかね。

なんでそんなことになったのかな、って印象の上に憶測を重ねちゃいますけど、プレスリリースがインターネットによって広く一般に公開されるようになったことが原因なんじゃないかって思ってます。

要するにプレスリリースの読者が報道関係者だけでなく、個人投資家を含む株主(さらに潜在的な株主も含む)にも拡大されたことで、自主規制なのか当局の指導なのかわかりませんが、株価に影響する可能性のある内容について(必要以上に)過敏になったためなのではないかと思いますが、どんなもんなんでしょうね。

ということでタイトルのお話しですが、もはや「プレス」リリースを読ませる相手が報道関係者に限られておらず、むしろ一般(投資家)への情報ディスクロージャーとしての意味合いが大きいのだったら、「ニュース」リリースという呼び方の方がふさわしいだろうと思うのですね。

さらば「プレス」リリース!

だからといってリリースを作らなくていいってことじゃないし、広報活動の中での役割も続いていきますけどね。

ところでちょっと前のAdverTimesにプレスリリースの存在意義についての記事が掲載されてましたので、リンクしておきます。併せてご一読ください。

今はプレスリリースが効かない時代?! 採用されるのは”提案型”の情報発信

あ、ついでに与太話をしちゃいますが、企業サイトに「リリース」が掲載されるようになったのはいいんですが、期間がやたら短くて最近のしか見られないところってありますよね。過去5年とか。「あの会社を買収したのいつだっけ」「その時どんなコメント出してたっけ」なんて思ってももうわからない。

創業からのを全部載せててもらえないですかね。出来事が箇条書きになってしまっている沿革に比べると全然役に立つんですが……

「浪花少年探偵団」で教諭役の多部未華子は「(生徒の)過去がどうやったかじゃなくて大事なんはこれからのこととちゃいますか」といった発言をしてました。

広報の仕事においてもそれはもちろん大事な考え方なんですけど、過去がどうだったか、どういう道をたどって今があるのか、というのもやはり同じように大事なことなんです。

ご検討願えれば幸いです。

以上 (MS)

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