市場の創造と地道な積み重ね


先日、某大手計測器メーカーの広報戦略についての講演会に出席してきました。

この会社は、体重計や体脂肪計の製造・販売を主な事業としていますが、
近頃は社員食堂のレシピ本など幅広いビジネスを展開して、注目を集めています。

講演では、広報部の担当者から同社の概要や戦略、
広報戦略についての説明がありました。それによると、
社員食堂のレシピ本をきっかけに、同社には
メディアなどからかつてない数の問い合わせが続いたそうです。

広報担当者の方はもともと新聞社出身で、同社広報部へ転職した後、

①メディアリストの抜本的な見直しと更新

②報道資料作成の合理化

③メディアコンタクト強化

④人材の確保と育成

⑤情報発信の強化

などを軸に、旧広報部の体制を立て直しました。

さらに、「マーケットクリエーション(市場創造型)広報」を新たな広報戦略と位置づけ、
競合他社の参入の難しい、独自のマーケットを創造したことが、
今回の広報改革成功につながったと語っていました。

具体的には、計測器メーカーの社員食堂のレシピというコンテンツをベースとして、
本を出版したり、レストランを出店したり、百貨店でお弁当を販売したりと
他社が真似しにくい新しい事業に次々に参入し、新しい市場を作りだしていきました。

そうして新しい話題を提供し続けてゆくことが、
メディアからの注目度を増進・維持することにつながった、というわけです。

この話を聞き、①~④の基本的な活動の強化ももちろんですが、
「マーケットクリエーション(市場創造型)広報」という言葉に、なるほど、と思いました。

リーマンショック以降の経済停滞から抜け切れず、少子高齢化が進行する国内市場にあって
競合他社との競り合いは厳しさを増しています。

本業をふまえたうえで、新しくマーケットを創造する戦略をもち、
それに沿った広報活動を展開してゆくことが今求められている、と再認識しました。

先に述べたように、社員食堂をテーマにしたレシピ本や
それをベースにしたレストラン(食堂)のオープンなど、
次々に新しい戦略を出してきた同社は、同時に
メディアにとって、よい話題・情報の提供者でもありました。

だからこそメディアでの報道から口コミなどでも広まり、出版本も注目され、
そしてまたそれらを契機としたさらなる情報提供という
一連の”プラスのスパイラル”を構築できたのでしょう。

一方で、その広報担当者が、講演の最後に話していたことも忘れてはならないと思います。

その方は、最後に、広報対応の基本として地道な活動の継続とともに
「謙虚に誠意をもってメディアと接する」ということが一番重要である、とおっしゃっていました。

広報対応では、日ごろメディアの方と良い関係を築くことが重要だと、私もよく感じます。

それを実践するためにも、PR担当は企業の顔を担う立場だということを自覚し、
謙虚さと誠意をもつことが非常に大切だと思います。

メディアの方からの問い合わせに対する迅速な対応や、
相手の希望を引き出し、その期待に沿った対応を丁寧に行う。

広報の基礎であるこうした地道な活動と
「マーケットクリエーション(市場創造型)広報」。

この両輪をうまく回してゆくことが、
これからの企業広報を成功させる秘訣ではないでしょうか。

(T.M)

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