伝統継承の最前線


12月26日、縁あって、とある祝賀会に出席してまいりました。

来賓約400人、年の瀬にもかかわらず盛況だったその催しは、
「観世銕之丞さんの紫綬褒章受章と著書『能のちから』上梓を祝う会」というもの。

観世銕之丞(かんぜ・てつのじょう)さんは、能楽師=お能の役者であります。

著書『能のちから』(青草書房)のプロフィールには
「九世観世銕之丞。観世流シテ方。観世銕之丞家現当主」とありまして、
シテ方とは、能の主役を演じる役者のことです。

そして、観世銕之丞家は、江戸時代、観世流十五世宗家の観世左近元章のときに
分家して成立し、以来現在にいたるまで能界に重きをなしています。

その現ご当主が、今年の6月に紫綬褒章を受章され、
このたび、著書『能のちから』を上梓されます。

祝賀会はこの2つのお祝いを兼ねており、
ちょっと見渡しても文化や芸能関連のお歴々の姿が目に入りました。

お能では、たとえば梅若玄祥さん。

歌舞伎では、今年人間国宝に認定された中村吉右衛門さん。

ご挨拶された方を挙げれば、主賓で狂言師の野村萬さん。

来賓からは、韓国やフランスの大使などを務められた小倉和夫さん、
乾杯の発声は、ポーランド全権大使ヤドヴィカ・ロドヴィッチさん。

祝辞は3名、宝生流シテ方の近藤乾之助さん、花人の川瀬敏郎さん、
指揮者の井上道義さん。

ただ、一般人の私にとっていちばん興味深かったのは、銕之丞さんのご子息である

観世淳夫さんのご挨拶。彼にとっては大先輩が居並ぶなか、堂々とスピーチされ、
「能がきらいだ。父も、若いときはそうだったと言っていました」といった
スレスレのネタも披露して、会場の笑いをとっていました。

能楽にかぎらず、伝統が次の時代に継承されてゆくとき、各世代、各時代の現場では
いろいろな苦悩や葛藤が繰り返され、積み重ねられてきたことと思います。

伝統の重みからくるプレッシャーは、当事者のほかには想像もつきません。

でも、そうした重圧を、このように軽妙に”ネタ”化できる淳夫さんは、
まさに”今様”といえるでしょうか。

どんな方向を歩むにせよ、がんばっていってほしいと思いました。

*      *      *      *

今年は震災をはじめ、本当にたいへんな一年でした。

2011年の終わりにあたって、被災地の一日も早い復興を改めてお祈りするとともに
2012年こそは明るい話題に溢れた年になるよう
PRの仕事を通じて、トークス一同も努力してまいります。

皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

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