ハゲタカとマンダリン


映画版「ハゲタカ」が今月初旬に劇場公開された。新聞記者出身の小説家、真山仁氏が書いた同名の経済小説をNHKが2007年にドラマ化し、経済ニュースに対する世の中の関心の高まりと共に高い人気を得た。今回の映画化は東宝がNHKに提案して実現、昨年のリーマンショックによって台本を大幅に書き換えて完成に至ったという。

主な登場人物は三人。企業買収を生業とする外資系ファンド「ホライズンキャピタル」の豪腕ファンドマネジャー(その後「鷲津ファンド」代表)の鷲津(大森南朋)、「三葉銀行」の生真面目なエリート銀行員(映画版では「アカマ自動車」執行役員)の芝野(柴田恭兵)、そして「東洋テレビ」経済部記者の三島(栗山千明)である。鷲津は芝野のかつての部下。三島の父が経営する自動車部品メーカー「三島製作所」は鷲津が担当していた融資先。しかし、貸し渋りにあって資金繰りが悪化、将来を悲観した父は三島が高校生の時に自殺してしまう。この因縁浅からぬ三人を中心にストーリーが展開される。

映画版ではこの三人に加えて巨大資金をバックにした中国系ファンド「ブルーウォールパートナーズ」代表の劉(玉山鉄二)が敵役として登場する。テレビ版に比べて、ストーリー展開が性急過ぎる、登場人物の描写に深みがない、など疑問符が付く点は正直あるものの、実際の業務でも似た案件にかかわったこともあって、おもしろく観させてもらった。テレビ版を毎回楽しみにしていた人、硬派な経済ドラマが好きな人、そして広報に関わっている人にはそれなりに楽しめる内容だと思う。

 映画を見て、興味深かったのは、日本橋にある高級ホテル「マンダリンオリエンタル東京」が実名で全面的にバックアップしていること。劉が宿泊している部屋、「アカマ自動車」に対する敵対的TOB発表の記者会見、三島による劉への単独インタビュー、劉と鷲津が対峙するレストラン、果ては「鷲津ファンド」による対抗策発表の記者会見まで、ありとあらゆる場面で登場する。このように映画などに特定企業の商品を露出させる広告手法を「プロダクトプレイスメント」と言うそうだが、まさにその典型だろう。

このホテルは昨秋、我々が広報サポートを担当した外資系企業の関係者が泊まったホテルということもあって、見覚えのある風景が多かった。ホテルのHPにはプロモーションの一環として映画版「ハゲタカ」に協力していることがしっかり記されている。こうした手法は行過ぎるとかえって敬遠されそうだが、そのように感じるかどうかは是非劇場で確かめてほしい。 http://www.mandarinoriental.com/tokyo/jp/news/ 

(T)

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