2012年度「音楽メディアユーザー実態調査」


日本レコード協会より、2012年度の「音楽メディアユーザー実態調査」が発表されていました。
毎年実施されている調査で、普段はあまり気に留めることもないのですが、ちょうどブログのネタに困っていたという事情もありましたので、今回はこの40ページの調査報告書を斜め読みして、個人的に気になったポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

2012年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書


■CD購入、レンタル、有料音楽配信
CDの購入、CDレンタル、有料音楽配信・着うたフル購入のいずれも、昨年度より2~4%ほど減少しています。「CDが売れない」と言われ続けてずいぶん経ちますが、CD購入からシフトすると言われていた音楽配信も、頭打ちどころか減少に転じています。
それぞれのマーケットシェアでは、CDアルバム・シングルの購入層は30~40代と50~60代が増加、中学生~20代社会人はシェアを落としています。CDの購買年齢層がそっくり上の方にスライドしているような印象です。
着うたフルでは中学生~20代社会人のシェアが増加していますが、逆にインターネット配信では減少しているあたり、音楽をデータで買うという行為が若者の間で定着しているかといえば、そうでもないようですね。

■購入楽曲のジャンル
購入した音楽のジャンルでは当然ながら日本のポップス(J-POP)が50%と最も多くなっているのですが、注目すべきは2012年度から新たに追加された「ボーカロイド(初音ミク等)を利用した楽曲」。
全体では3~4%台にとどまりますが、中学生・高校生の数字が突出しており、女子中学生のアルバム購入ジャンルでは、J-POP、日本のアイドルに次いで3番目(26.6%)となっています。実に女子中学生の4人に1人がボカロ曲を買っているという計算。
ボーカロイドについては個人的にプライベートでの接点がほぼありませんので、いわゆる“そっち”の層の支持が多いという先入観があったのですが、中高生にも大人気というのはちょっと意外でした。

※女子中学生がボカロ好きという調査結果もありました
女子中学生の54%がボカロ好き!!
(角川アスキー総合研究所調べ)

■未知アーティストの音楽購入のきっかけ
CDと有料配信での音楽購入のうち、「未知アーティスト」対「既知アーティスト」の割合は約4:6。
着うたフルでは未知アーティストの割合が半数を超えています。
未知アーティストの購入のきっかけは、CD購入では20代までが「無料動画配信サイト」、30代以上はテレビ番組やCMと結果がキレイに分かれています。
(音楽ファイル購入では30代以上でも動画配信サイトが上位に食い込んでいます)
動画配信サイトは、ファイル交換ソフトや違法ダウンロードと並んで、音楽不況の犯人として槍玉に挙げられる場合が多いように思いますが、新しいアーティストを発見して楽曲を購入するきっかけにもなるという、真逆の結果となっているのが興味深いところです。
前述の「ボカロ曲が中高生に人気」と合わせると、二次利用に比較的おおらかな(想像ですが)ボーカロイド界隈の楽曲が、YouTubeやニコ動で(ユーザーによるアレンジを含めて)“拡散”し、新たなユーザー獲得につながっているという好循環が何となく見て取れます。
反面、最もCD購入者が多い30~40代では、動画配信サイトがCD購入のきっかけとなる率は20代以下より低く、中心購買層にCDを売るための動画配信サイト活用という面では、まだ工夫の余地ありといった感じでしょうか。

■ライブ・コンサート参加者の動向
CD購入では30~40代の割合が最も多かったのですが、ライブ・コンサートの参加者の割合は中学生~20代、30~40代、50~60代がほぼ拮抗しています。また、年間のライブ・コンサートへの支出では、チケット代とグッズなど関連商品を合わせて約2万2000円と、少なくない金額になっています。
かつては、コンサート=CDを売るためのプロモーションといった意味合いが大きかったように思いますが、CDが売れない近年では、チケット代やグッズ購入などで利益を得るといった逆転現象が起きているという話もよく聞きます。
以前、いわゆる「落ち目」と言われるかつての人気アイドルが、ディナーショーやファンイベントなど、メディア露出のない所で地道にしかし安定した活動を続けているというエピソードを目にしました。曰く、1000人の熱心なファンがいれば、十分に食べていけるのだとか。
業界全体としても、1枚1000円~3000円のCDを広く売るよりも、規模は10分の1でもその10倍以上のお金を出してくれるファン層を囲い込んでいく傾向があるように思えます。

 

以上、かなり主観の入った部分もありますが、気になるポイントをざっくりまとめてみました。
音楽不況の背景には、消費者の趣味・娯楽の多様化、すなわち音楽以外に割く時間やお金が増えていることがあると同時に、アーティストや音楽に触れるルートや形態もまた多様化していると思います。
もはや「良い音楽なら売れる」という時代ではなく、趣味・趣向で細かくセグメントされたターゲットに対して、最適なコンテンツを最適な方法でいかにリーチさせていくかが、今まで以上に重要になるということでしょうか。
「音楽」を商品やサービスに置き換えれば、何事にも当てはまりますね。

 

・余談1:
下記は、以前お会いしたことのあるバンドマンが立ち上げた、新しいアーティスト支援のビジネスモデルです。

Frekul(フリクル)

“楽曲は無料”と割り切って、登録アーティストは発行するメルマガ会員に楽曲を無料で提供、ファンが増えれば有料のファンクラブから収入が得られるという仕組みだそうです。CD販売を最初から捨てるというのはちょっとしたチャレンジですが、CD不況の中、新しいアーティスト活動として非常に面白い試みじゃないでしょうか。

・余談2:
今回ネタにした「音楽メディアユーザー実態調査」、抽出方法がインターネット調査なので、世の中の実態を完全に反映しているとは言い難い部分はありますね。(いまさら何を言う)
それよりも、これ調査実施は2012年の8月なんですよねぇ。事情があるとは思いますが、サンプル数5,000弱の調査集計と発表に半年もかかるとか、しかも3~8月の6か月間の動向をもって「2012年度」と言い切ってしまうところに、そこはかとないお役所臭を感じてしまいました・・・。

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