日本人はカナダのことを本当はどう思っているのか?

筆者はいま、英国放送協会BBCが毎年出す「BBC Countries Rating Poll」(2014年)というのを見ている。BBCが米国の世論調査会社「グローブスキャン」(GlobeScan)と組んで年1回行うもので、ある国の人々が他の国の影響についてどう見ているかを調査するものである。

これは世界の国々20か国前後について毎年、「世界に対してポジティブな影響を与えている」と「ネガティブな影響を与えている」と思われているかの割合を調査したもの。

この調査でカナダと日本は再びポジティブな影響を与えていると思われている国のトップグループに入っている。つまり、カナダは、ドイツに次いで2位(2013年の調査と同じ順位)で、日本は1つ下がって5位になった。

この調査で興味深いことは、カナダ国民が日本についてはっきりした意見を持っているのに対して、日本人の方は45%しかカナダについて明確な意見を持っていないということだ。つまり、58%のカナダ人が日本はポジティブな影響を与えているとし、30%がネガティブな影響を与えている、と見ている(12%が中立またはブランク)のに対して、日本人はカナダについて、44%がポジティブ、1%がネガティブと答え、残りの55%が中立または何の意見も持っていない。韓国人と比較すると、彼らはカナダについて84%がポジティブかネガティブかどちらかはっきりした意見を持っている。

印象が中立だということは何か心配するほど悪いことではない。特に、ポジティブな見方がネガティブを圧倒しているときには、それは問題にはならない。それでも、それがなぜなのか、インターネットで少しリサーチをしてみた。その結果、2つの面白そうなコンテンツが見つかった。どちらも方法論的にはあまり科学的ではないけれども、それでも興味をそそるものだ。

1つ目は15人ほどの日本人大学生にインタビューしてカナダの印象を尋ねているもの。ほとんどの学生がカナダといえばいつも名前があがるお馴染みのものを羅列した。メープルシロップ、オーロラ、豊かな自然、ナイアガラの滝、それにカナダの寒さ。それらの印象について、さらに詳しく述べるように言われると、あるいは、ステレオタイプでもよいからネガティブなものを挙げるようにといわれて、彼らのうちの数人は、カナダには何もそういうものがないとか、カナダにはあんまり事件が起こらない(お隣米国と比べるとだが)、と答えている。そういう回答はまさに、このBBCの国の影響力調査での中立の答えの多さと合致するのだ。

2つ目は、ポータルサイトの「エキサイト」(Excite)に出た投稿メッセージで、「なぜ日本人はカナダへの移住に興味がないのか」という問題を議論している。この記事は、中国人のブロガーが、カナダになぜ日本企業の駐在員や長期居住者など「日本人エクスパッツ」が相対的に少ないのかを考えている知り合いの中国人たちの話を紹介している。現在の日中両国の緊張関係を考えると奇妙な話だが、この中国人もほかの中国人もみなカナダより日本の方が好きなように見える。

カナダの大学では多数のアジア出身の学生が留学しているが、日本人留学生をカナダの大学で見かけるのは比較的まれだということについて、中国から来ている大学院生は次のように説明して見せた。「日本がカナダより良いということは周知の事実だ。日本は多分自然環境ではカナダと比較にならないが、日本で仕事を見つけるのははるかに簡単だし、理由もなしに解雇したりしない。日本にはカナダよりもっと思いやりの心がある。カナダ人と比べて日本人はもっと親切だ」。

カナダに移ってくる前に7年間日本で勉強していたという別の中国人も、同様のことを言っている。「正直言って、日本からカナダにやってきたけれど、自分はカナダになじむことができなかった。それは、日本人がカナダ人よりはるかにいい人たちで親切だからだ。日本では、バスを降りるとき、運転手がありがとうございました、というけれど、カナダでは乗客がバスの運転手にありがとう、というのだから」。

インタビューの最後の一人はこう言った。「自分の国がカナダよりよいと思っていたらカナダには移住しないだろう。それはごく自然のことだよ。母国で快適に生活できるなら、自分の言うことが通じないとか、恐ろしい目に遭うようなよその国にどうして行くだろうか」。

多分これら3人はみんな欧米の体験には向いていなかったということだろう。

結局、カナダの素晴らしい大学の環境も、魅力的な自然環境も、ハイテクや新しい産業の活況も、海外に出ようと考えている日本人にとってカナダは、米国や欧州、あるいは中国のような、冒険心に心躍らせるような行き先では決してなさそうだ。

ダニエル・フェイス トークス・バイスプレジデント

極端な性的異常者を描いた映画に日本人はどのような反応をするか?

法律や規則は国が(カナダ・米国の場合は州も)どれほどリベラルか保守的であるかを示してくれる。映画もまた、社会のリベラル度や保守性を測る物差しとなりえる。
映画「ルーム」(部屋)を例にとってみよう。

この作品は衝撃的な事件に基づいている。読者はジョセフ・フリツルというオーストリアの男を思い出せるだろうか。ドイツの週刊ニュース誌・シュピーゲルが、2008年5月になっても伝えているところによると、この男は実の娘、エリザベスを1984年から1993年まで自宅の地下室に監禁し、性的虐待を続けて7人の子供を産ませた。

この実話を基にアイルランド・カナダの作家、エマ・ドノーは同名の小説を書き、2010年にベストセラーになった。

どれだけの数の日本人作家が、このような困難なテーマを好んで小説に仕立て上げられるだろうか。日本では、この信じられない性的虐待者は例外的な存在とみなされ、忘れられたように思える。

ドノーは自作を基に脚本を書いた。製作はアイルランドとカナダ両国の映画人である。監督は比較的無名のアイルランド人、レニー・エイブラハムソン。彼は10頁に及ぶ売り込みの手紙を原作者に書いてこの仕事を得た、という。エリザベスを基にしたマーを演じる主演はブライエ・ラーソン。もう一人の主役、ジャックは子役のジェイコブ・トレウレイが演じた。

ニューヨーク・タイムズ紙(NYT, 10月9日)はこう伝えている。「有名俳優を使い、オスカー賞受賞を狙う作品が、9月にいつものようにトロント映画祭で競い合った。トロント映画祭で名誉ある観客賞を獲得した作品は、過去8作のうち6作がオスカー最優秀作品賞の候補となり、そのうち3作がオスカーの栄誉を最終的に勝ち得ているからだ。ところが、大きな驚きが起きた。観客賞は1,300万ドル(わずか約15億円)の製作費で作られ、少数の人にしか注目されなかった“ルーム”に決まったのだ」

この作品を「トロントと(アメリカ・コロラド州の)テラライドの両映画祭で観た人々は、総立ちになり涙をこぼしながら拍手を送った」とNYTは伝えている。

「ルーム」の上映はアメリカでは10月に始まったが、他国では2016年1月からとなる。日本で上映されるかどうかは、まだ不明だ。おそらく上映となろう。そう想定しても、どんな映画評が現れるか、また一般の日本人観客がどんな反応を示すか、予測は困難である。なにしろ、このカナダ・アイルランド合作の作品は、極端な性的異常者の信じられないような行動を基にしているからだ。

潮昭太(東京在住フリーランス記者)

10月19日カナダに政権交代は起こるのか

投票を19日に控えたカナダ政治史上最長の2ヵ月半に及ぶ連邦選挙運動はホームストレッチに入った。選挙のことだから、あと1週間の間に何が起こるかわからないが、12日の時点では様々な世論調査で、ジャスティン・トルドー党首率いる自由党がスティーブン・ハーパー首相の保守党を6ポイント以上も引き離している。このまま行けば10年ぶりに政権交代が起こる可能性が大きい。

例えば、グローブ・アンド・メール/CTV向けにナノス・リサーチが8日から10日までの3日間に行った全国調査では、自由党が35.1%で2位の保守党の29%、3位新民主党(NDP)の25%、4位緑の党の5.1%を引き離している。これで10日連続で自由党が保守党を6ポイント以上引き離したことになり、保守党は2日連続で30%を割っている。(「グローブ・アンド・メール」10月11日)

1週間前の別の調査では、自由党と保守党は32.5%と32.3%で拮抗しており(NDPは25%)、議席数にすると過半数170議席のうち、保守党が126、自由党が118(NDPは92)という予想で現政権の保守党がわずかにリードしていた(「フィナンシャル・タイムズ」10月6日)

12日に感謝祭の休日を迎えるカナダでは、この週末に家族が集まって感謝祭の食事をしながら、どの党に投票すべきかを話し合う有権者が多いのだという。

11日の日曜日、トルドー党首は選挙運動を休んで感謝祭の食事を家族と一緒にとって余裕を見せている間に、ハーパー首相の方はオタワでの家族との感謝祭の食事も返上して、カナダで最も多くの人口を抱えるグレーター・トロント・エリアに出て支持を訴えた。どちらが首相かわからない。

この日トルドー党首は街頭に出る代わりに有権者にアピールする声明を出してこう呼びかけた。「国中を回って聞こえてきたのは、国民が本当の変化を必死になって求めている声だ。有権者と話してみてわかったことは、これまでの10年のような政治をもう10年許すことはできないということだ。恐怖の政治や憎しみを煽る政治をあなた方は力を合わせて拒否しようとしている」と。

ハーパー首相が、党首討論会のなかで、イスラムの女性が顔に被っているベールを公務員が使用することを法律で禁止すると述べた時、トルドー党首は厳しくこう反論した。「カナダ国民をカナダ国民と対立させることをして選挙に勝つような勝利なら勝利するに値しない」。保守党政治のもとで危機にあるかつてのカナダらしさ、国民のまとまりや連帯を大事にするカナダの美徳、「現代カナダのDNA」をトルドー党首は引き継いでいるのだと、次期首相として支持を表明した「トロントスター」(10月11日)は言う。

残り1週間となって、保守党はトルドー党首を首相にしたら財政赤字が拡大して、カナダの経済が破滅すれば、国民の生活はどうなるのか、と有権者に訴える作戦に出るといわれている。若くて(ハーパー首相の56歳に対してトルドー党首43歳)政治経験の豊かでないお坊ちゃん(人気の高かった偉大なカナダ首相だったピエール・エリオット・トルドーの息子)には政権は任せられないと、保守党は選挙戦中もトルドー党首を攻撃してきた。

確かに2008年にモントリオールの議員になるまでは数学とフランス語の教師をしていたトルドー党首は自分の経験の足りなさを認めているが、その分経験豊かな人々を周りに集めてアドバイスを受けている。オバマ大統領の国家経済会議委員長を務めたラリー・サマーズハーバード大学教授やデービッド・ドッジカナダ中央銀行元総裁らがはいっている。だから、金利が低くて政府借り入れの対GDP比率がまだ健全な間に、ある程度の借金をしても、インフラ投資をして財政による景気刺激策で世界11位の規模のカナダ経済を現在の低迷から回復させるのだというトルドー党首の経済政策は、サマーズ教授の主張する経済政策のようだし、アベノミクスにも通じるところがあるようだ。

カナダ国民の76%が政権交代を望んでいる中で、トルドー党首が、元首相の息子だけではないことを有権者に示すことができれば自由党が保守党に取って代わることは可能だといわれる。

トルドー党首はまるで、ロックスターのように、どこへ行っても会場を支持者でいっぱいにすることができるといわれる。先週のある日、オンタリオ州ブランプトンの町にあるホッケー競技場では、バスを連ねてやってきた5千人以上の支持者たちから大きな声援を受け、カナダのどの町に行っても、スピーチをするより、握手を求められ、有権者が一緒にセルフィーの写真を撮るのに付き合う方が忙しく、その方が自然に振舞えるのだという人懐こさで支持者たちを魅了する。多くの支持者やファンは、元首相の写真や選挙運動に使ったピンバッジなどを持参してやってくるのだ。(「カナディアン・プレス」10月11日)

それでも、あと1週間になって、有権者はいまトルドー党首でいいのか、自由党に任せられるのか、これまでの人気スターを見る目ではなく、真剣で厳しい目で見なおし始めている。まだまだ予断は許さない。

石塚嘉一 トークス シニアコンサルタント

カナダ開発の原子炉が海外でも一貫して維持されている

「カナダの2組織(原子力産業機関=OCNI、カナダ・韓国ビジネス協議会)は、韓国原子力界とカナダ側供給企業との交流を推進・手助けする計画をすすめるため、カ・韓両者間で新しい戦略的パートナーシップに合意、調印した」とロンドンのオンライン・ニュース「世界原子力ニュース(WNN)」が9月4日に伝えた。

カナダは長年、原子力の要をカナディアン重水ウラン炉(Candu=Canadian deuterium uranium reactor)としてきた。連邦政府が民間企業と協力して開発した炉型である。

この原子炉は同国内では12基がオンタリオ州、1基がニューブランズウィック州で稼働している。同数の原子炉が海外でも稼働中だ。内訳はアルゼンチンが1基、中国が2基、パキスタンが1基、ルーマニアが5基そして韓国が4基である。

日本の原子炉メーカーの国際ビジネスに関しては、まず東芝が世界の関係者を驚かせた。沸騰水型(BWR)の原子炉メーカーである東芝が、米国を本拠地とし、加圧水型原子炉(PWR)の大手であるウェスチングハウス社(WH)の87%の株式取得を完了したのは2006年10月のことであった。買収価格は約6,500億円だった。多くの国に原子力政策を見直しさせることになった福島第一原発の重大事故より4年以上前の買収劇だ。

WH社は中国の浙江省三門で4基のPWRプラントを建設することが決まっており、1号機の営業運転開始は2016年9月の見込みとなっている。

福島の事故で長期的な原子炉建設の見込みが不確かになったため、東芝のライバルである日立は英国のホライズンズ原子力の株式をドイツの2電力会社から取得した。2012年10月のことだ。日立による英国での原子炉建設は2原発で各2-3機となる見込みだ。1号機の営業運転開始は2020年代になりそうだ。

かつてWHからPWR技術を取得した三菱重工業(MHI)は、フランスの総合原子力企業、アレバと組んでATMEA1と名付けられたPWR炉を開発済みだ。トルコはこの原子炉を4基、シノップで建設する計画を有している。第1基目の建設開始は2017年になりそうだ。ただし、同国初の原発はロシアのロスアトムの主導により、アックユで建設される。

ベトナムでもMHIが有力視されている。2機のPWRの立地はカムラン湾より南にあるビンハイとなる。トルコの場合と同様に、まずロスアトムがベトナム初の原発をフォクディンで手がける。

MHIや日立の役員は、2011年3月の重大事故の前には、原子炉を丸ごと輸出することは想定外であったと言っている。

WNNはこう報道している。「カナダと韓国の長年にわたる関係は、カナダ側の設計による4基のCandu炉建設がウルサン(蔚山)で実施されて以来、30年以上続いてきた。4基すべてが今も運転中である」

原子炉メーカーはプラント保守・改造も手掛ける。ウルサンの場合も例外ではなく、カナダ側は1号機の大幅改修(2013年完了)を支えたとWNNは伝えている。

潮昭太(東京在住フリーランス記者)

カナディアンウイスキーの静かなる復活

近年ジャパニーズウイスキーの評価が海外で上がっている。2007年にはサントリーの「響30年」(ブレンデッドウイスキー)とニッカの「竹鶴21年」(ブレンデッドモルト)がそろって英国のウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』主催の第1回「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」のそれぞれの部門で、本場スコットランドなど世界のウイスキーを抑えて最高賞を獲得した。以来毎年、「山崎25年」や「余市20年」など両ウイスキーメーカーがWWAの最高賞を各部門で獲得している。14年、15年には「竹鶴17年」が2年連続でブレンデッドモルトの最高賞を獲得、この10年ほどジャパニーズウイスキーが高く評価されるようになって、海外のレストランなどでの消費も増え輸出も何倍にも増えている。国内では、NHKの朝ドラ『まっさん』の人気もあって、ウイスキーの消費が急速に伸びている。特定の銘柄のウイスキーは売り切れで手に入らないほどだ。

一方、それほどの華々しさはないが、カナディアンウイスキーの業界にも変化が出始めている。不当に低かった評価が静かに上がってきて低迷していた人気も売り上げも復活、大きく伸びているという。最新の統計(2013年)ではその年、1,700万ケース(1ケース750mlx12本)がカナディアンウイスキーの最大の市場米国(カナディアンウイスキーの70~75%を消費する)に輸出された(カナディアンウイスキーの専門家Davin de Kergommeaux氏によるジャーナリスト向けの解説「カナディアンウイスキー入門」www.canadianwhisky.org/ 2015年4月3日)。「カナディアンウイスキーは大きなカムバックを果たした」と「メンズ・ジャーナル」(2月9日)の記事は宣言している。

世界には、本場スコットランドのスコッチウイスキーのほかに、アイルランドのアイリッシュウイスキー、米国のバーボンなどアメリカンウイスキー、カナダのカナディアンウイスキー、そして日本のジャパニーズウイスキーがあって世界の五大ウイスキーと呼ばれている。余談だが、whiskyと呼べるのはスコッチだけで、スコッチ以外のウイスキーはwhiskeyと綴るのだと昔英国人エディターに教えられたことがあるが、日本のはJapanese whiskeyでアイルランドのもIrish whiskeyで、英米のまともな新聞雑誌はこの区別を厳密に守っている。しかしカナディアンウイスキーはなぜかCanadian whisky なのだ。

カナディアンウイスキーは、ライ麦特有の風味が特徴のフレーバーリングウイスキー(ライ麦、とうもろこし、ライ麦麦芽、大麦麦芽を原料に蒸留して作る)とベースウイスキー(トウモロコシを原料)をブレンドしたもので、オーク樽で3年以上熟成させたものがブレンデッドウイスキー。これをソーダやジンジャーエール、セブンアップなどで割って飲むのが普通の飲み方。シーグラムの7クラウンを7アップで割るのがセブン・アンド・セブン(7 and 7)と呼ばれて最近までカナディアンウイスキーのポピュラーな飲み方だった。

筆者も初めてカナディアンウイスキーに出会った1970年、大阪万博のオンタリオ州パビリオンでもらった「シーグラム・クラウンロイヤル(Seagram’s Crown Royal)」をジンジャーエールで割って飲むのだと日系カナダ人の同僚が教えてくれてから、20年近くそんな飲み方で飲んでいた。クラウンロイヤルが入ってくる、紫のフェルト風生地の袋があまり飲まない人にも人気で、いくつもたまった。[クラウンロイヤルは2000年にシーグラムから英国のディアジオ(Diageo)社に渡ったが、今でもマニトバ州のウイニペグ湖岸の町ギムリ(Gimli)で作られている、カナディアンウイスキーの最大で最古のメーカー。]

「カナディアンクラブ」などの大量生産の大手蒸留酒メーカーわずか8社で年間2億5千万本のカナディアンウイスキーが独占的に造られている最近までの状況が、業界に長い間変革が起こらないできた原因のひとつだと、「ブルームバーグ」の記事(2月3日)は指摘する。それに比べて、スコッチの製造に関わっているウイスキー会社は100社にもなるという。

しかし、カナディアンウイスキーが、美味いがあまり記憶に残らないという不当な評価やイメージに長年甘んじてきたのが、ここに来て変わり始めた。隣の米国などで活発な1つの樽の原酒(シングル・バレル)から小ロットのウイスキーを手造りで造るような「クラフト蒸留会社」がこの5年ばかりの間にカナダにもでき始めて、2014年末までに、30数社まで増えたとde Kergommeaux氏は推定している(「ブルームバーグ」2月3日)。それでも米国の数百という数に比べれば微々たるものだが。

転機となったのが、1992年にワイン造りのベテランのジョン・ホール(John Hall)が作ったForty Creek Whiskyという中堅ウイスキーメーカー。手作りの製法でこれまでのカナディアンウイスキーにない複雑な味やフレーバーを加えた新しいカナディアンウイスキーを出して次々に賞を獲得し、多くの中小メーカーが後に続いている。「フォーティークリーク」は昨年カンパリ・アメリカに1億2,000万ドルで売却されたが、ホール氏はそのままフォーティークリークでウイスキーを作り続けている。今年のコンクールではまた8つの賞を獲得した。

その影響は大手のウイスキー会社にも出ている。クラウンロイヤルは、大手のブランドとしては初めてシングルバレル(1つの樽の原酒だけで作る)ウイスキーを、最大の市場であるテキサス州だけに販売する。しかし、このようなのは例外で、新しい、高い品質のプレミアムウイスキーのほとんどはまだまだカナダ国内以外では手に入らない(これまでも、米国市場には最高級ウイスキーの10%しか行かないと専門家は言う)のがカナディアンウイスキーの国際的な評価とイメージアップにとって問題だと「ブルームバーグ」は指摘する。

石塚嘉一、トークス シニアコンサルタント

カナダの電力を担う主役は水力発電

クイズをやっていただこう。次の文章は正しいか、誤っているか。
水流は長いこと動力を得る手段であったから、水力発電は蒸気機関の発明に始まる産業革命に先立った。
答えは間違いである。説明は記事の最後に。

カナダは長年、エネルギー大国であり続けた。経済協力開発機構(OECD)の国際エネルギー機関(IEA)の発表によると、2014年のカナダのエネルギー自給率は162%だった。原子力を含む自給率は、さらに高く173%となった。余剰電力はアメリカに輸出されている。

エネルギー資源に恵まれたアメリカでも、原子力を含む自給率は85%だ。原子力込みの比較では、イギリスは57%。フランスは原子力大国であり、原子力を除く自給率は9%だが、原発を含む数字は54%に跳ね上がる。

日本の自給率は5%にとどまっている。43基の使用可能な原子炉がすべて停止しているからだ。カナダの水力発電容量は2014年の77,600メガワット(MW)から、2025年には84,800MW(総発電能力の49.4%に相当)に伸びるとコンサルティング会社のグローバル・データが予測している。電気事業連合会が8月19日に紹介した予測値である。

日本の水力発電に関する数字も印象的だ。約2,000の水力発電所がおよそ550の市町村に立地している、と経済産業省の資源エネルギー庁は言う。

さらに印象的な(否定的で残念な)数字もある。日本の総電力発電に占める水力発電の割合は3.2%に過ぎないと言う。

水力発電所を有する市町村を訪れたり通過する旅行者は、水路があるので、これらの発電所にすぐ気付くだろう。同時にこれらの発電所がある場所は、問題に直面しているのではないかと感じるであろう。資源エネルギー庁によると、ほとんどの水力発電所が過疎化や老齢化の難問と戦う山間地の市町村に立地している。

打つ手はあるのだろうか。
自民党の約40人の国会議員はダム・水力発電推進を目指す議員連盟を立ち上げる、と8月下旬に決めた。経産省は2016年度に水力導入と更新を進めるため51億円の補助金を提供できるよう、予算を求めている。水力発電所のおよそ半数は運転開始後40年を経ている。資源エネルギー庁は2020年度までに100MW(10万キロワット)の新規開発を目指している。

クイズ解説。世界初の水力発電所は1882年9月30日、米国フォックス川(ミシガン湖の西)のウィスコンシン州アップルトンで発電を開始した。産業革命が英国で始まったのは1760年代である。

潮昭太(東京在住フリーランス記者)

カナダで牛乳の消費が減少しているのはなぜか

カナダで牛乳の消費量が年々減っていて、その傾向がここ数年顕著になっているというので地元の新聞が時々とりあげていた。この牛乳離れの現象はカナダに限ったことではない。多くの欧米先進国でのトレンドなのでとりたてていうことではないかもしれないが、最近のカナダの新聞の報道から紹介してみよう。

先月のカナダ政府の統計局(Statistics Canada)の発表によれば、6月の牛乳販売量が前年同月比で3%以上減少して、これで8か月連続の減少になった。政府の統計によると、カナダ国民一人当たりの牛乳消費量は、1995年に年間90リットルあったのが2014年には74リットルと20年間に18%も減少しているという。(「グローブ・アンド・メール」8月26日)

2013年から2014年の1年間で、人口増を考慮すると、牛乳の消費が2,000万リットルも減ったということができる。また別の報道によると、この20年間で、カナダ国民が消費する牛乳の量は25%も減っていて、アーモンドミルクや豆乳、ライスミルクなどの代替品が牛乳(cow milk)にとって代わりつつあるという。(「ハフィントン・ポスト」2月14日)

牛乳の消費の減少には、多くの要因があるが、まず、高齢化の問題。カナダに限ったことではない、先進国に共通の問題だ。高齢化が進むカナダでは、現在65歳以上の消費者が500万人以上になるという(2015年総人口3,587万人)。

彼ら多くのベビーブーマー(団塊の世代)が高齢化して、子供がみんな独立して家を出てしまうと、空っぽになった家の中で(幸運であれば)妻と二人だけ、あるいは夫と二人だけになると、牛乳を飲む量も大幅に減るか、全く飲まなくなってしまうのだと、オンタリオ州ゲルフ大学食品研究所のシルバン・シャルボワ教授は「牛乳を飲むのが減るのはなぜか」という記事の中で説明している。(「グローブ・アンド・メール」8月31日)

さらにカナダならではの要因として、移民の影響があるとシャルボワ教授は言う。移民による社会の構造の変化が、牛乳の消費の減少につながっている。多くの新興国ではまだぜいたく品の牛乳は、彼らがカナダに移住してくるときには本国の伝統的な食習慣には入っていない。だから移住者が増えても、牛乳の消費が増える訳ではないのだという。

もう一つ、大きな要因が、一切の動物性食品を拒否する厳密な菜食主義(veganism)の広がり。これまでの緩い菜食主義(vegetarian)は、卵や牛乳、チーズなどの乳製品は食べるが、完全菜食主義はそういう乳製品を一切とらない。数年前まではそう頻繁に聞いたことのない言葉だ。

カナダ酪農家協会(Dairy Farmers of Canada)が最近行った調査によると、相当な割合の消費者が、1頭当たりの乳牛の生産性を上げるためにコンクリートの牛舎につながれたままで高度に産業化された方法で牛乳を出し続けることを強いられているという現代の酪農産業のやり方に、倫理上の問題があるという理由から牛乳を飲まない、あるいは乳製品を食べないということが明らかになった。(「グローブ・アンド・メール」8月31日)

牛乳を飲まないと答えた回答者の10%はそういう完全菜食主義者(vegan)だから、さらに8%は、動物を虐待するような残酷なやり方の酪農産業を、製品を買うことで支援したくないから、と回答したという。ある研究では、酪農産業で飼われている乳牛は、昔からの酪農家で飼われている乳牛の7~14倍の牛乳を生産させられていることがわかっている。(「ハフィントン・ポスト」2月14日)

このような国内の牛乳消費の落ち込みと世界的な牛乳価格の下落―ここ数か月に半分にまで下落―にもかかわらず、カナダの牛乳の価格は下がるどころか、年々上がっているほどだ。それは、政府公認で、国内の酪農製品の市場を閉鎖して、安い輸入から酪農農家や業者を保護しようとする「サプライマネジメント」(供給管理)のおかげである。

カナダはこの「サプライマネジメント」システムを撤廃して、最終交渉が近づいた環太平洋経済連携協定(TPP)の自由貿易市場に加わるのか、それとも国内市場を守ってTPPから締め出されるのか、重大な決断をするプレッシャーを受けている。

石塚嘉一 トークス シニアコンサルタント

カナダと長野県の歴史的結びつき:ノーマン一家の活動

長野県民は旺盛な知識欲で知られ、かつて五右衛門風呂が当たり前であった頃、農家の主婦は風呂を沸かす間も岩波書店の高等な雑誌を読んでいるという伝説も生まれた。

長野県にはカナダ・メソディスト教会のダニエル・ノーマン(1864~1941年)と妻のキャサリンも住んでいた。1902年から1940年のことだった。彼はトロント市に近いオーロラの農家出身であったから、神学だけでなく農業にも詳しかった。稲作に加えて換金作物を求めていた農家にトマトを導入し、自転車や自動車を持ち込んだのも、この宣教師だった。教えには禁酒もあったが、二男はシェリー酒を嘗めながら雑誌を読む学者・外交官であった。ダニエルの教会に通っていた信徒には、戦後長野県知事になる人もいた。

長男のハワード(1905~1987年)は両親が別荘を構えていた軽井沢で生まれた。軽井沢はノーマン一家など外国人居住者が開発した避暑地である。彼らは軽井沢夏季滞在者協会という組織をつくって開発を進めた。

父の職業を継いで宣教に従事したのはハワードだった。1932年から富山などで布教をやった後、関西学院大学の教授になり、カナダ人生徒などの通う神戸市のカナディアン・アカデミーの舎監を務めた。ちなみに、彼よりも有名になる弟のE.(エジャートン)・ハーバート・ノーマン(1909~1957年)は1926年までこの学校に通っていた。ハーバートも軽井沢生まれの「長野県人」だった。姉のグレースは1903年の生まれだ。

兄弟の母を含む家族4人は、いずれもトロント大学で学んだ。ハーバートの場合は、さらにケンブリッジとハーバードの両大学での歴史学研究が加わる。彼が使いこなせる外国語はフランス語、ラテン語と日本語。

歴史家と一般読者に知られているハーバートの学術著書は「日本における近代国家の成立」「日本の兵士と農民」及び「忘れられた思想家――安藤昌益のこと」である。

これら3部作は、1868年に始まった明治維新によって日本がいきなり近代国家になったのではない、と説得力を持って説く。封建的な考えや行動は長年残存したし、その一方で江戸時代でも男女平等など民主的な思想を抱いていた安藤昌益(1703~1762年)のような人がいたとする。安藤は今の秋田県・青森県で医者をやっていた。

ハーバートは1939年にカナダ外務省入りを果たし、翌年日本の勤務となった。1941年12月に3等書記官に任命された。東京勤務の間(1940年5月~1941年12月、1945年9月~1946年2月)、彼は東京大学のフランス文学教授だった渡辺一夫(1901~1975年)ら、リベラルな人々と交流を重ねた。

これらの友人も彼がエジプト大使を務めていたカイロで1957年4月4日に投身自殺した時にはショックを隠せなかった。この頃、米国の上院では、赤狩りをやり、彼が共産主義者ではないかと疑っていたのだ。

ハーバート・ノーマンの代表作やエッセイ集は全集が出された後、岩波文庫に収められている。東京大学で哲学を学んだ岩波書店の創始者、岩波茂雄(1881~1946年)も長野県の生まれである。

潮昭太(東京在住フリーランス記者)

モントリオールに野球が戻ってくる日

モントリオールに再びメジャーリーグの球団を呼び戻そうとする機運が急速に盛り上がっている。

ここ3年くらい、そういう期待が膨らんでいたところに、今年に入って特にモントリオール市がMLBに積極的に働きかける一連の動きをカナダのマスコミが報道してきた。先週には、米国の「ニューヨークタイムズ」も、モントリオール発の長い記事でこのことを報じている。

一度もリーグ優勝したことがなかったけれども、かつてモントリオールの野球ファンを30年以上に渡って熱狂させ多くの観客を集めた「モントリオール・エクスポズ」を、経営不振でオーナーが放り出してから10年余、モントリオールは、都市圏人口が400万を超えるのにメジャーリーグ球団を持たない、北米で最大の都市になっている。

成績低迷や、それに伴う人気の落ち込み、観客動員の減少のため経営不振に陥り、2005年に米国の首都ワシントンに「ワシントン・ナショナルズ」として移転した。それ以来モントリオールでは、メジャーリーグの球団は存在しないし、MLBの公式戦も行われていない。公式戦を見るためにはトロントまで行かなければならない。京都から東京に行くような距離だ。

それでもモントリオールの野球への情熱が薄れたわけではない。昨年のトロント・ブルージェイズ対ニューヨーク・メッツのオープン戦2試合に合わせて9万6,000人を超える観客が、かつてのエクスポズのホーム球場、「オリンピック・スタジアム」を埋めつくした。熱狂的なエクスポズファンでモントリオールにMLB球団復活を推進しているデニス・コデール市長が始球式を行った。

今年4月のブルージェイズのオープン戦(対シンシナティ・レッズ)2試合にも、同じように多くの観客が押しかけて、モントリオールに再びMLBの球団を夢みる人びとを勇気づけた。その上に、フランス語のスポーツテレビ局が2社、いつでも野球中継できるよう手ぐすね引いて待っているという。11年前エクスポズが苦闘していたころとは、観客動員や球団経営の環境がはるかに改善されているということだ。

今年、MLBの新しいコミッショナーにロブ・マンフレッド氏が就任したことも、楽観的な見方をするもう一つの理由になっている。マンフレッド氏はメディアとのインタビューで、MLBの球団数を30から32に増やす場合でも、どこかの球団が移転を考える場合でも、「モントリオールは最も実行可能な候補地だ」と述べて、モントリオールが将来MLB球団の本拠に再びなる可能性に前向きな発言をしている。4月にはカナダにもう1球団できるのを見てみたい、と踏み込んでモントリオールの市民を喜ばせたが、最近は少し慎重になっている。(「スポーツネット」、7月14日)

コデール市長は5月に、マンフレッドコミッショナーと会談、MLBが球団数を増やした場合でも、現在ある球団が移転する場合でも、モントリオールを本拠地とする球団を獲得するための市の戦略を説明している。手始めに、来年から公式戦を数試合モントリオールで開催するように要請した。また、市が1,100万ドルを投じてモントリオール市内の野球のグラウンドを整備して野球少年を育てる計画を説明し、この2年で若者の野球人口が25%も増えたことを強調したという。

これに対して、マンフレッド氏は来年からの公式戦開催については前向きに検討すると約束したという。また、モントリオールがMLBの球団を呼び戻すことに強い関心を示していることで、第一関門はパスしたけれども、これが実現するまでにはまだ数多くのハードルを越えなければならない、とコメントしている。特に、モントリオールが新しい球場の建設を約束することが重要だと述べている。エクスポズが使っていたオリンピック・スタジアムは文字通り、1976年のモントリオール・オリンピックで建てられて、1977年からエクスポズの本拠地(45,757人収容)として使用されてきた。(「カナディアン・プレス」5月28日、31日)

MLB球団の本拠地となるには、オープン戦や公式戦を年に数試合開催して球場をいっぱいにしたぐらいでは、まだまだ十分ではない。MLBの本拠地になるということは、ホーム球場で年間81試合を開催して球団経営をやっていけるだけの観客を集めなければならないのだ。モントリオールやケベック州のマーケットがこれを支えることができるかどうかまだ不透明な部分も残っている。

しかし、このような「野球フィーバー」や「願望」をもっと着実で現実的な方法で裏付けようとするのが、1974年から1983年までエクスポズの外野手で5番打者として活躍したウォレン・クロマティだ。1983年エクスポズからフリーエージェントで90年まで7年間在籍し、巨人軍史上最強の助っ人と呼ばれてファンからも絶大な人気のあった、あの「クロウ」である。

現在は故郷米国のマイアミに住むクロマティ氏は、自分が活躍したモントリオールに再びメジャーの球団を復活させるための組織、「モントリオール・ベースボール・プロジェクト」を2012年に設立した。すでに、錚々たる顔ぶれのスポンサーを集め、モントリオールで野球の球団が成功し得るという結論の調査報告を40万ドルかけて作成した。この報告書には、モントリオール市の中でもおしゃれなウォーターフロントのピール・ベイスン地区を新球場の建設候補地として提案している。

「今では、モントリオールが再びMLBの球団の本拠地になれるかどうかの仮定の問題ではなくて、いつそうなるかという時間の問題なのだ」とクロマティ氏は強気である。そして、球団がモントリオールに戻ってきたら、マイアミから引っ越してきて、今度はモントリオールに永住するよ。そして始球式で投げさせてもらうのを楽しみにしている」と語っている。(「ニューヨークタイムズ」8月19日)

モントリオールが再びMLBの球団の本拠地になるとしたら、球団数を増やして新球団を作るより、最も現実的なのは、タンパベイ・レイズが新しい観客とマーケットを求めて移転してくることだというのが多くの専門家の見方だ。2012年以来レイズは毎年最悪の観客数に悩まされており、今年も1試合の観客数が平均1万5,903人で30球団の中でも最低だという。もちろん球団オーナーは移転の可能性を否定しているが、本音はわからない。オークランド・アスレチックスもモントリオールへの移転の候補として名前があがっているが、どちらの場合もことはそう簡単ではない。

モントリオールに野球チームが戻ってくれば、モントリオールやMLBだけでなく、カナダの経済やスポーツの風景にも、モントリオールの人々のライフスタイルや文化にも大きな影響を与えることは間違いない。

石塚嘉一、トークス シニアコンサルタント

カナダ・日本の大学が男女均等を目指す国連女性機関のパートナーに

男女均等と女性助力を目指すUN Women(国連女性機関)は、「男女均等に協力する18の勇敢なパートナー」を選んだと6 月18日に発表した。

これら18人のなかには安倍晋三首相、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領などの政治指導者とともにウォータールー大学のフェリダン・ハムジュラフー学長・副総長、名古屋大学の松尾清一総長など教育者の名前もあった。

カナダのオンタリオ州ウォータールー市にある同名の大学は、同国で最大の工学部により最もよく知られている。マクリーンズ誌が23年間で23回、同大学を「最も革新的な大学」に、18回「カナダで最善の大学」に、16回「明日の指導者を育てているトップ大学」に選んだと同大学は発表している。

社会全体の男女均等となると、エコノミスト誌(5月15日号)の「ガラスの(見えない)差別指標ランク2014年版は、カナダを11位とした。前年は9位であった。米国は17位で前年と同じ。日本は韓国よりも上位だったが、27位となった。

エコノミスト誌は9組織(OECD、世界経済フォーラムなど)のデータを用いて、このランク付けを計算している。最高は100点で、北欧3カ国(フィンランド・ノルウェー・スウェーデン)は80点前後で常に上位に立つ。カナダは60点以上となり、日本は20点強で「女性の職場での均等性となるとOECD加盟国では最悪クラスにいる」と説明された。

人事院の6 月19日の発表によると、4月に仕事を始めた事務系総合職の国家公務員のうち、女性は過去最高の38.8%となった。総合職は省庁の次官まで昇進する可能性がある。

人事院は次官・局長・審議官のうち、女性は2.2%だとも発表した。

名古屋大学は「ウェルビーイングinアジア:女性リーダー育成」プログラムを2014年10月に立ち上げた。大学院の副専攻科目だ。最初の20人のうち、男性大学院生は4人。

名古屋大学はまた2009年に学童保育所を学内に設けた。日本の大学では初めての同種施設だと説明された。教員などの学童は午後9時まで、ここで時間を過ごすことができ、希望者は夕食と入浴を済ませることもできる。

佐々木成江さん(理学系大学院の准教授)の小学校6年生の娘は保育所利用者の1人。成江さんの夫は名大の教授であり、彼女の直接の上司でもある、と朝日新聞(7月19日付)は伝えた。

潮昭太(東京在住フリーランス記者)

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