大麻の全面解禁後の原料不足は2022年まで続きそう ~今秋の大麻食品解禁で第2次ブームがやってくる~

昨年10月17日、カナダでマリファナが嗜好目的の使用も含めて、全面解禁された。先進国の中で、全国レベルで全面解禁するのは初めてで、全世界でも、ウルグアイに次いで2番目になる。多くの店で大麻製品の売り切れが続出しているほかには社会的な大きな混乱もなく4か月近くが経過した。

いまも、全面解禁以来のブームで大麻製品の高い需要が続き、原料となる大麻の供給は追いつかないで、恒常的な不足状態が続いている。認可を受けた生産者が、新しいビニールハウスを増設し、大麻の栽培の増産に躍起になっているが、それを超える需要に追い付かないのだ。

大手の大麻製品メーカーのCEOは、需要が現状のままで行っても、この原料不足は2020年まで続くだろうと予想する。この需給ペースのままでは、入手するのに制限がなくなっても、入手する製品が足りなくては、当面、闇市場で大麻を入手する状態が続くことになるだろう、と米メディアは伝えている。(産経新聞、2018年10月23日)

昨秋、嗜好目的での使用が合法化されたのは、乾燥大麻と生の大麻、大麻油、大麻の種などだが、カナダでは、すでに2001年から医療目的の使用は合法化されている。そのため、カナダ統計局によると、全面解禁前の2017年の国内大麻市場の規模はすでに57億カナダドル(約5,000億円)にも上っている。

そして、この医療目的の市場は、全面合法化のあとでさえも、毎月5%ずつ伸びている、とCBC(カナダ放送協会)はトロントの大麻会社オークスリー(Auxly)のCEOの発言を引用している。15~64歳の大麻使用者は490万人でカナダ国民の16%に上り、この9割が医療目的以外の使用者とされている(ロイター通信)。それだけ、大麻の全面解禁の前に医療目的と称して入手した違法使用が蔓延っていたということだ。

それが、全面解禁によって、様々な小売店舗で、認可を受けた生産者が育てた大麻と大麻油を堂々と購入できるようになり、カナダ国民ならインターネットで生産者から大麻を注文することができ、成人は公共の場で最大30グラムの乾燥大麻を大っぴらに所有することができるようになったのだ(BBC)。カナダ帝国商業銀行は、2020年までに同国内の嗜好用大麻の年間販売額が65億カナダドル(約5,500億円)に達すると予想。これはカナダのワイン市場に匹敵する規模になるとCBCは報じている。

ところが、今年秋に予定される食用大麻や大麻を利用した食品・飲料が解禁されれば、商品の種類も大幅に増えて、原料不足はさらに深刻になり、需給のバランスが取れるようになるのは、2022年頃に延びると見られている。連邦政府は、昨秋、大麻の全面解禁を実施したときに、1年以内に、大麻や大麻の濃縮液を入れた食品、飲料を解禁すると公表しているため、大麻製品のメーカーはその前から、新製品の企画をしたり、試作品を作ったりして、いまは準備に大わらわだ。

「娯楽用大麻の解禁をした昨秋が第1次のブームだとしたら、今秋には、大麻食品や飲料などの大麻製品の第2次ブームが来るだろうと、大麻会社は大きな期待を寄せている」。マスコミは、メーカーが開発中の大麻食品の新製品のことをこう書きたてている。大麻の利用者も、今年のある調査によると、その半数近く(49%)が、食べる大麻、飲む大麻製品が解禁になって市場に出たら、喜んで試してみると答えている。(CBC、1/23)

例えば、有名なメキシコのビール会社コロナとニュージーランドのワインメーカー、キム・クロフォード(Kim Crawford)は、カナダの大麻生産最大手のキャノピー・グロース(Canopy Growth)と組んで、大麻入りビールやワインを製造することにしている。あのバドワイザーは、カナダの医療用大麻製造販売会社ティルレイ(Tilray)と手を組み、カナダと米国のビール会社が合併したモルソン・クアーズ(Molson-Coors)は、ケベックが本社のヘキソ(Hexo)と合弁会社を作って、大麻入り飲料の製造に乗り出す。

大麻入りのキャンディやチョコレート、グミなども試作されているが、一旦解禁になれば、何が出てくるかわからないほど、あらゆるタイプの商品が考えられているという。そうなったら、昔ながらの、たばこのように吸う大麻製品などは、あと10年もすれば大麻市場全体の10~20%になってしまうだろうと業界は予測する。睡眠補助剤、スポーツのあとの回復剤、筋肉痛や炎症にも、と、その利用方法は何でもありだ。この秋にはどんな商品が出てくるのか、大麻愛好者にはたまらない。そうでなくても、楽しみではある。

 

― 石塚嘉一 トークス シニアコンサルタント

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