カナダで大規模な二酸化炭素回収・貯留設備が商業運転に

地球温暖化に関する良い大ニュースといえば、2015年12月のパリ協定だった。温暖化を摂氏1.5度以内に抑えようという合意だ。世界中の196カ国・地域が参加した。

このような野心的な目標が、唯一の手段によって達成できるとは誰も考えないであろう。発電所などでの化石燃料、特に石炭の消費を減らすという方法は、多くの人が思いつきそうだ。また、消費者に省エネをすすめてください、と政府はずっと依頼し続けている。

原子力発電は二酸化炭素(CO2)を発生しないという特徴を有しているが、支持する人は日本では少数派だ。

日本の政府のなかには、発光ダイオード(LED)がCO2削減に貢献すると考える官庁もある。日本の目標は2030年度までに2013年度比で26%の削減となっている。

CO2回収・貯留(CCS)計画が大きなニュースになっていたことを思い出す人もあるだろう。これらのプロジェクトは死に絶えたのだろうか。とんでもない。電力・石油などCO2に関係する業界の長期企画担当者は計画進展に注目している。

シェルの2015年末の発表によると、カナダ・アルバータ州のクエストCCS計画は、商業運転の段階に入った。計画では年間、100万トン以上のCO2を回収することになっている。CO2をシェルの精油所(改質所)から65キロ離れた貯油施設まで運び、地下2,000メートルの岩層に貯蔵する。

シェル・シェブロン・カナダのマラソン社が参加しており、アルバータ州政府が7億4,500万カナダドル、連邦政府が1億2,000万カナダドルを負担する。

日本政府もCCS計画を進めている。ただし、規模は小さい。

資源エネルギー庁が組織した検討委員会は、日本CCS社が実施した実証調査の結果を2016年2月に承認した。これは2016年度以降に、北海道苫小牧の沿岸部で年間10万トン以上のCO2を貯蔵する計画の実現につながる。

CCSだけではCO2問題を解決することにはなりそうもない、と地球環境産業技術研究機構の茅陽一・理事長は説明する。もしも、世界の化石燃料使用が大幅に減って、CO2全体の10%程度しか排出しないことになっても、全量をCCSによって処理しようとすると、アルバータ級の施設3,000か所を要するという。

環境省は日本の照明すべてをLED電球に取り換えたら、温暖化ガスの排出を年間に1,100万トン以上減らせると試算している。目標は2030年度だ。

 

潮 昭太(東京在住フリーランス記者)

Page Top