カナダのサイクロトロン加速器は放射性同位元素生産の王様

福島第一原発の事故から早くも5年が経過した。同原発から放出された膨大な量の放射能はベクレルの単位で計測された。

しかし、原子力は発電のためにだけ使われるものではない。

科学者と技術者は放射性同位元素(RI)をがんの放射線治療・医療研究・材料開発など多様な目的のために応用することを可能にした。

カナダはRI生産でずっとトップ級だった。その地位を象徴する機械がバンクーバーに近い場所にある。その機械とは、ブリティッシュ・コロンビア大学内で活動するトライアンフ国立研究所の520メガ電子ボルト(MeV)もの主要サイクロトロンだ。

機械の活動40周年を記念する式典には、連邦政府のキルスティ・ダンカン科学大臣などが集まった。機械の生みの親は現在の連邦政府トップの父親、故ピエール・トリュドー氏だった。運転開始は1976年2月9日だったとオンライン通信のワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)が伝えている。

大臣はトライアンフを粒子・原子物理学、分子・材料科学、核燃料などの専門家を引き寄せる「メッカ」だと呼んだ。

日本原子力研究開発機構(JAEA)の前身が、熱出力50メガワットの材料試験炉(JMTR)を1968年に茨城県大洗で起動させた背景には、医療診断用のRI、モリブデン90を国産化したいなどという背景があった。トライアンフ関係者は最近、モリブデン100を照射してテクネチウム99mの生産に成功しているとWNNは報じた。医療用RIのうち80%はテクネチウム99mになったともいう。

日本のイオン照射施設にはJAEAが群馬県高崎市で運営する高崎高度放射線開発イオン加速器(TIARA)もある。4つの機械によって構成される施設で、内訳は70MeVのサイクロトロン、2種の加速器、イオン注入設備である。

国会はJAEAのTIARAなどの機械と放射線医学総合研究所の医学資産を組み合わせて、量子科学技術研究開発機構を4月1日に発足させる政府の計画を承認している。目標とする課題には重粒子線によるがん治療や核融合などがある。

「量子ビーム」は多種多様である。ミュオン、中性子、陽子、電子、イオン、中間子、放射、光量子など。供給源も加速器、高出力レーザー、研究炉と多様だ。

日本で圧倒的に研究に使われるRIはコバルト60で、モリブデン99やテクネチウム99mは少量に留まっていると政府が発表したことがある。

これらRIの量もベクレルで表わされる。

 

潮昭太(東京在住フリーランス記者)

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