英語圏の留学生獲得競争でカナダは優位に立ちそうだ

日本政府は1964年に外国為替管理を緩めて、留学志望の学生のために、たとえば円の米ドルへの換金額を無制限にした。当時の日本人留学生は卒業後の帰国を当然のことと考えていた。

時は移って2016年。カナダで学ぶ、特に中国とインドの留学生は、永久滞在ビザを獲得するケースが増えている、とエコノミスト「紙」(実際にはどう見ても週刊「誌」の2016年1月30日号)が伝えている。英語圏の主要4カ国で学ぶ留学生の多くが卒業後も滞在し仕事を得たいと願っている。この観点から、カナダとオーストラリアはより多くの留学生を迎え、アメリカとイギリスは競争に負けそうだ、とエコノミスト紙は予測する。

4カ国のうち、カナダに滞在する留学生は2013年現在で最小の19万5,000人だが、学生全体に占める比率は10%と比較的高率だった。アメリカは2014年現在、97万5,000人と最大数の留学生を誇っているが、全在籍者の比率は5%と4か国のうち最低だった。

イギリスは日本の皇室に人気がある留学先だが、31万2,000人の留学生を受け入れていた。比率は15%弱。オーストラリアはエコノミスト紙によれば教育を「第2位の輸出産業」と見なしており、鉱山業に続く有望業種だという。同国には2014年現在、34万8,000人の留学生が在籍しており、25%という高い比率を保っていた。

カナダ政府は、大学の財政状態を向上させるのに、自国の学生よりも高額の授業料を払ってくれる外国人学生数を増やすのが有効な策だ、と約10年前に判断した。

アメリカ政府は2001年9月の同時多発テロ事件以来、ビザ発給の規則を厳しくしたのに対し、カナダは外国人卒業生を「立派な資格のある貴重な若年労働者」と見なしている。新卒の留学生が職を得さえすれば、自動的に3年間の滞在を許している。

日本はどうか。政府は在日留学生を2020年までに30万人に増やす目標を掲げている。今のイギリスに近い数字である。

日本にいる留学生は2014年5月1日現在で18万4,155人だった、と文部科学省が2015年2月に発表した。中国からの留学生が9万4,399人、ベトナムから2万6,439人、韓国から1万5,777人だった。

海外で学ぶ日本人学生は2012年現在、6万138人で、主な留学先は中国が2万1,126人、アメリカが1万9,568人、イギリスが3,633人だった。エコノミストは「英語は習得に値するもっとも役に立つ言語」だと言うが、かなり多数の日本人学生が中国語を学ぼうとしている様子が、上記の数字から判断できる。

1960年代半ばにアメリカ西部のオレゴン大学にいた日本人学生は数十人程度。2人か3人の例外はあるが、大半は学位を得ても得なくても当たり前のように帰国した。例外組の1人は、同大学で日本語・文学を学んだアメリカ人女性と結婚し、残留したけれども後に離婚された。

 

潮 昭太(東京在住フリーランス記者)

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