ウナギに関心を寄せるのは日本人だけか

ウナギは古くから栄養のある、あるいは薬効さえある食べ物だと考えられ、猛暑の時期に食べることが何世紀も続いた。日本人は、おそらくボルネオ島に近い海で1億年前に出現したとされるウナギを食べ研究するのが、日本人だけだと考えるかもしれない。
それは誤りである。

アリストテレス(紀元前384-322年)は、ウナギについて熟考した後、「地球の内臓から自然発生する、性別のない生物」だと考えた、とニューヨーク・タイムズ(NYT)国際週刊版(12月 27日号)は伝える。

我々は、この古代ギリシアの哲学者・科学者よりも、ウナギに関しては多くの情報を持っているから、東太平洋・南大西洋以外のどんな海域でも見かける魚だと分る。日本ウナギ(学名はアングイラ・ジャポニカ)はかつて沖縄か台湾沖で産卵すると考えられていたが、今ではグアム島から遠くないマリアナ海溝の西部だという説が有力であることを知っている。

しかし、ウナギは今でも謎の動物である。生涯に一度だけ産卵するという説が有力のようだが、複数産卵説もある。

カナダ水産海洋省の研究担当科学者、デヴィド・ケアンズのおかげで「少なくとも一つの謎は解明に向けて一歩前進した」とNYTは報じた。「アメリカ・ウナギは成長した時期(3-20年間)をグリーンランドからヴェネズエラまでの広い地域にある川や河口で過ごしているが、生殖するのはサルガッソ海だけだという共通点を有している」。これはフロリダ州沖(東)の海である。

ケアンズと同僚は、ウナギに適応できる道具、小型軽量で海洋衛星によって追跡できるタグを開発した。

「2012年から2014年にかけて、研究者達は、衛星につながるタグを付けたウナギを38匹カナダ・ノヴァスコシアの海岸から放流した。データを得られたのは28匹分だったけれども、1匹からは2,400キロに及ぶ旅の経路を証明する成果が得られた。このウナギはノヴァスコシアから東に向けて動き、ニューファンドランド州沖の大陸棚に達すると、急角度で右(南)側に転じ、米国の海岸から東に向けて流れる湾流を横切って、サルガッソ海に直行した」とNYTは伝えている。

このウナギの場合「(2,400キロの)マラソン完走に、わずか45日しか要しなかった」とNYTは言う。

同紙はまたケベック州にあるラヴァル大学のジュリアン・ドドソンのコメントを載せている。「私は魚類の移動を40年間以上研究してきたが、このような軌跡を見るのは初めてだ」。

8月になったら、高価になったウナギを丸ごと、あるいは半身を食べながら、ウナギの長い航海に思いを馳せてみるというのはどうであろうか。

 

潮昭太(東京在住フリーランス記者)

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